Hudl.com内のBlog記事 “Inside the Mind: Why Video is Crucial for Coaches” より(画像とも)。

~なぜレビューにビデオを使うべきなのか?心理学者による説明~

 

「何よりもまず、私たちは客観的に見ることが苦手なのです。」

ネブラスカ大学のスポーツ心理学者、Brett Haskell氏は、人間の脳が特定の場面を思い出す能力についてそう語り始めました。特にスポーツでは、人間の感情はまさにその通りです。先入観、ストレス、疲労、プレッシャーなどのせいで、多くのアスリートやコーチたちは実際に起こったできごとを誤って覚えてしまいがちなのです。

これこそがまさに、ビデオレビューが大事な理由なのです。ビデオは試合の興奮の中で抜け落ちてしまったものを、私たちの脳に復元してくれます。テキサスのヘッドコーチ、Shaka Smartが以前に語ったように「テープは嘘をつかない。」からです。

フィルムセッションは、私たちの脳をどのくらい元の正しい道筋に戻してくれるのでしょう?またコーチはそれをアスリートにどのくらい正確に伝えることができるのでしょう?私たちはその答えを、Haskel氏とネブラスカの心理学者、Brett Wood氏に尋ねました。

 

個人的な先入観の克服

どんなに客観的でいようとしても、私たちの感情はそれを許しません。思考や感情が、その場面の正確な記憶を妨げてしまうことがあるのです。

「ときに私たちの感情は、パフォーマンスの評価をつかさどっている前頭前皮質を無視してしまうのです。」Woods氏はそう語る。「実際に起きた出来事を覚えたり思い出そうとしたりしても、感情が知覚に影響を与えてしまうために、パフォーマンスに対する正確な評価ができなくなってしまうのです。」

私たちの記憶は、物事を何かのせいにしてしまう偏見とも戦っています。私たちがどうしてその物事が起こったのかを考えるとき、自分のレンズを通して、情報をどう翻訳するかの考えを作り上げていきます。例えば、もし試合が始まって数分のうちに、ポイントガードがファストブレイクにつながるターンオーバーを二、三度犯してしまったとしましょう。コーチは試合の間じゅうその記憶を持ち続け、たとえミスはその数回だけで、その後たくさんのアシストを成功させたとしても、そのプレーヤーがゲームを台無しにしたと考えるかもしれません。

「人は仮説を立て、その仮説を確かなものにしてくれる情報だけを探しているのです。」とHaskell氏は言います。「もし私の仮説が、自分のチームは最悪なプレーをしているということなら、私は彼らのミスにのみ注意を向け、その仮説を否定するような情報や、実際はうまくプレーしていることを示しているような情報は無視するでしょう。感情的になっている瞬間は、余計に先入観を強めてしまうでしょう。」

ここがビデオの役に立つところです。時間を遡ってゲームを見直すことによって、コーチは新しい光のもとで、もう一度それを見ることができます。上の例に戻ってみましょう。このコーチがそのプレーヤーのアシストやターンオーバーのシーンのプレイリストを作れば、彼のプレーに対する、より正確な意見を持つことができます。そしてターンオーバーのシーンを再度見なおすことで、そのターンオーバーがガードの甘さによるものなのか、他のプレーヤーのミスによるものなのかを詳しく検討できるのです。

ネブラスカ大学男子バスケットボール部のビデオ・コーディネーターのGreg Eatonは、一貫してこの点をコーチのTim Milesに強調し、最終決断を下す前には必ずビデオをチェックするように促しています。

「ボックススコアが告発し、ビデオが証拠を出すのです。」とEatonは言います。「4回ターンオーバーされたら、学生は『プレッシャーを受けていたんだ。』と言うことができます。ビデオはパスを3回失敗していたことを証明するのです。」

 

スタッツは手に届くところにあります。いろいろな方法で翻訳されている統計は、起こったことをはっきりと説明するための具体的な情報を表しています。スタッツリポートは、試合の興奮の中で見落としていた傾向やパターンを伝えることができます。

ポイントガードのアシストとターンオーバーをチェックすることで、コーチはそのプレーヤーに対して偏見のない意見を形づくることができるでしょう。

これらの数値をビデオと組み合わせることによって、心の中に残った感情に左右されない、ゲームの正確なイメージを描くことができるのです。

(後編)に続く

(翻訳:橘 肇)