特集

デンバー・ナゲッツの輝ける未来は、
スポーツコードとともに

あと一歩でプレーオフは逃した。けれども、ナゲッツがNBAの中で有望なチームの一つであることは、誰の目にも確かだろう。

その理由はまず、出身地のバランスが取れた若い主力選手たちだ。それはゼネラルマネジャー、ティム・コノリーの選手鑑識眼を物語る。さらに一歩チームの中に入ってみれば、このチームの未来がさらに輝かしいことがわかる。

ナゲッツはスポーツコードとハドルを使いこなし、試合映像のキャプチャ、目的に合わせた編集、そしてコーディングしたデータの分析を行っている。分析面でこのチームがリーグの最先端にいる理由、それはゼネラルマネジャーの経歴にある。

「ティム(GM)はビデオ・コーディネーターからキャリアをスタートしたんです。だから私たちの仕事を正しく、冷静に評価してくれます。」そう語るのはヘッド・ビデオ・コーディネーターのトラヴェス・アルメンタだ。「彼は、ほかのどのチームのGMよりも、ビデオスタッフとビデオ分析の価値を評価しています。」

今や、分析なしでNBAで戦うことはありえない。練習、試合、スカウティング、あらゆる場面で分析が重要だ。チームのお偉方は自分たちの価値を理解しているはず、ビデオスタッフは当然、そう願うだろう。しかし、アルメンタにそんな甘い考えはない。毎年毎年、常に自分の価値を示していなければ、簡単に捨てられてしまうことを知っている。

“A lot of what we do is anticipating what the coaches want and what other teams are thinking. That’s where the familiarity with your coaching staff and your experience with the technology comes in.” – Travess Armenta, head video coordinator

アルメンタ「私たちの仕事は何よりもまず、コーチが必要としていること、そして相手チームが考えていること、それを予測することに尽きます。そのために必要なことは、コーチングスタッフとどれだけ密に関係を築いているか、そしてテクノロジーにどれだけ精通しているか、この2つです。」(トラヴィス・アルメンタ、ヘッド・ビデオ・コーディネーター)

アルメンタ「マローンコーチがビデオ・コーディネーターを探すとき、頭にあったのは彼のサクラメント時代のヘッド・ビデオ・コーディネーター、エルヴィス・バルカーセルだったんです。彼は、私がエルヴィスの元で学んでいたことを知っていました。私は自分の能力を精一杯アピールしました。また、何人かのアシスタントコーチとも知りあいでした。すべてが、私の採用に有利に働いたんです。」

アルメンタは、マローンが何を望んでいるのか、良く理解していた。それに合わせて、さまざまな専門知識を持つスタッフを集め、分析チームを作り上げた。彼らは皆、チームの首脳陣にしっかりとした見識を示せるだけの能力を持っている。また、要望が変わっても、すぐそれに対応できる。

ビデオチームの組織

「チームを支えるチーム」として、ビデオコーディネーターは相手のスカウティングとゲーム後の分析について、あらゆる面に通じていないといけない。アルメンタはスタッフを集める際、そこのバランスに気を遣った。

アルメンタを支えるメンバーは、アシスタント・ビデオ・コーディネーターのトミー・マシミーノJrと、インターンのアンドリュー・マンソンだ。

アルメンタ「ゲームの日、私はスカウトコーチと一緒に、当日の対策のための正確なデータを用意します。トミーとアンドリューはもう少し先のゲームに焦点を当てます。だから翌日の夜の相手がヒューストンなら、トミーとアンドリューはヒューストンの対策に取り組んでいます。そうすれば、次のゲームの担当コーチが準備できます。1ゲーム、2ゲーム、3ゲームと分析を重ね、すべてのものが簡単に見つかるように準備します。それらすべてを、私とコーチングスタッフに渡します。私たちはそこでいつものルーティン、2回のコーチミーティング、2回のチームミーティング、コート上でもう1回ミーティングを行い、そしてゲームに入るのです。」

ゲームへの準備をバランスよく行うという責任を遂行しつつ、ビデオスタッフのメンバーは、さらに自分だけの得意分野を持っている。

アルメンタ「トミーは、ドラフトにかけてはリーグの同じポジションの誰よりも知っているでしょう。彼の知識は、求められているよりもはるかに上をいっています。」カレッジバスケットの伝説的なコーチ、「ロリー」マシミーノの息子として生まれた彼は、アイオワ大学とヴィラノバ大学での下積み、デンバー大学でのビデオ・アソシエートを経験する間に、選手を見抜く目を養ってきた。

アンドリュー・マンソン「私たちの計画に関わっているティム・コノリー(GM)と彼のスタッフ、そしてインターナショナル・スカウティングのスタッフは1年中ビデオを見ています。そこにトミーが貢献しているんです。それぞれの選手のハイライトを作ってくれるので、彼らは何時間もビデオを見なくて済みます。1、2時間の間にトミーが用意するものが、5、6試合のビデオを見る代わりになるんです。」

マンソンの前職は、アイオワ大学男子バスケットボールチームのヘッド・スチューデント・マネージャーだった。彼が身につけたスポーツコードの能力は、スタッフへダイジェスト映像を作るときに役立っている。

“So the five games out things that Trav was talking about, my role is to make the consumption of that film as efficient as possible. So like we have a code window for Utah that includes all of Utah’s plays. So whenever Gordon Hayward makes a three, that goes through and records all of those instances and then Tommy makes up personal edits.” – Andrew Munson, video intern

「トラヴ(アルメンタ)が話をする5試合について、効果的に見せられる映像を作るのが私の役目です。だから、ユタのすべてのプレーを含んだコードウィンドウを用意しています。ゴードン・ヘイワードが成功させた3ポイントをすべてインスタンスとして記録し、そこからトミーが個人プレーの編集を作るのです。」(アンドリュー・マンソン、ビデオ・インターン)

つまり、ゴードン・ヘイワードがボールを持っているシーンを探してゲームをずっと見なくても、マトリックスから彼のショットを見つけ、それをクリックするだけでいいんです。そして、プレータイプを分析し、コーチが最も興味のあるプレーを簡単に見られるようにするのです。プレーコールはわからなくても、最善を尽くしてピックアップします。これが、編集を作るプロセスです。

ゲームへの備え

NBAのレギュラーシーズンが開幕すると、アルメンタと彼のスタッフに休む暇はない。

アルメンタ「ホームゲームの日は、朝7時からここにいます。勝ったときは負けたときより少し早く、夜10時半から11時くらいに帰れます。しかし、もし他のチームのビデオを見たいという選手がいたら、西海岸のゲームが終わるのはここの時間で夜11時なので、それをダウンロードしてから、渡してあげるのです。」

“So sometimes our video breakdowns aren’t done until 1 or 2 in the morning, but we’re physically in this building from about 7 a.m. to 11 p.m. on game days. Road is a little different, obviously, because we’re in a hotel, but it’s probably a 14-hour day.” – Travess Armenta

「ビデオのコーディング作業は、ときには深夜の1時か2時までかかります。ゲームの日には朝の7時から夜の11時までこのオフィスにいます。ロードのときは少し違って、ホテルで作業をします。しかし、1日14時間はかかっているでしょう。」(トラヴィス・アルメンタ)

ゲームへの準備として、アルメンタは詳細にコーディングしたビデオを、さらに各コーチの好みに合わせて調整している。

アルメンタ「出勤したらまず、コーチそれぞれと話をします。それぞれが違うスカウティングをしているからです。4つのゲームがあったら、それぞれリードスカウトを担当するアシスタントコーチがいます。だから、もし明日がゴールデンステートとの試合なら、それを担当しているミカ・ノリと一緒にスカウトをします。私たちは編集作業を一緒に行って、翌朝に備えるのです。」

マローンが毎朝行うコーチミーティングの中で、ゲームのプランニングについての話が始まる。

アルメンタ「編集したビデオを見せて、相手の主なプレーの中から、いくつかのキーポイントを見つけるんです。こんなピック&ロールをやってみたらどうだろう、こんなポストディフェンスは通用するだろうか、と。ピック&ロールとポストディフェンスは、しっかり見直しておきたい点なんです。そして、どうやってカリーをガードするか、どうやってデュラントとその周りの選手をガードするか、などについて話し合います。」

ミーティングが終わったら、コーチングスタッフが見つけたことを選手に伝えるため、さらにビデオの編集が続く。

アルメンタ「朝はだいたい45分から1時間のミーティングです。そして、シュートアラウンドに行きます。シュートアラウンドのときは、コーチルームと同じようなビデオを見せます。しかし選手のために、もっと短くしています。だいたい2分から3分で、集中すべき5つくらいの大事なプレーを見せるだけです。シューティングドリルやシェルオフェンスをやっている間に、それらのプレーを実際にやってみるのです。」

選手が休憩に入っても、コーチはゲームプランニングを続ける。そしてビデオスタッフは、コーチのあらゆる要望に対応する。

アルメンタ「朝のセッションが終われば、選手は3時まで休息です。そこで、コーチはもう一度集合します。1日中、コーチはとにかくすべてのことを語り合います。私たちは、選手のウォームアップまでに要求されたビデオを準備するのです。」

勝負の分かれ目を見つける

NBAのチームはすべて、ビデオ分析を用いている。そこで抜きん出ることはたいへんな挑戦だ。しかし、相手との勝負の分岐点を見つけることについて、アルメンタは、単純明快だが効果的なアプローチの方法をとっている。

アルメンタ「チームとしての弱みを見つけることです。『プレー・エディット』と呼ぶ方法をとります。彼らのすべてのプレーがその中にあります。コーチはそれを拾い見して、自分の考えにフィットするように構成します。例えば明日ヒューストンと試合をするなら、過去5試合をコーディングして、それをハーフコートディフェンス、トランジッションディフェンス、ピック&ロールディフェンス、ポストディフェンスと、コーチたちが見やすいように整理するのです。コーチはそれを見て、どうカバーするのが最善かを考えます。」

ビデオスタッフは分析のノウハウを持っているし、戦術的な提案をするのも自由だ。ただし、ゲームプランの構築はコーチの責任であることも理解している。

アルメンタは「自分たちの有利な点を見つけるのは、私たちの仕事です。しかしそれに輝きを与え、実行するのはコーチです。私たちの役目は、彼らにできるだけ多くの情報を効果的に伝える、それだけです。」

マローンとスタッフが、戦略的に相手の弱みに集中しているときもある。そんな時でも、リーグ全体で何が成功しているのかを見極めることも、また自分のチームの成功にとって重要なことなのだ。

“Our head coach has five or six teams that are his favorite teams to watch play defensively. So he will key in on five or six things. If we played those teams in the last 10 games, he’ll want that game broken down, even if it’s not part of the five because he really likes the way that defense guards things. He’ll try to implement a similar defensive scheme.” – Travess Armenta

「うちのヘッドコーチには、ディフェンスに興味を持っているチームが5、6チームあります。もし直近で対戦した10ゲームの中にそのチームがあったら、そのディフェンスが好きだという理由で、彼はそのコーディングを欲しがります。そのディフェンスシステムを自分のチームに試してみようとするでしょう。」(トラヴィス・アルメンタ)

すべてのことに備えよ

すばやい対応は、チームの成功にとって不可欠だ。特にNBAでは。コーチングスタイルの変更、プレーヤーのトレード、分析によって明らかになった事実、その狭間でビデオスタッフは機転を効かせ、起こりうる条件に関連したコーディングを提供しなければならない。

アルメンタ「シーズン前の仕事で、その後1年の活動が楽になるかどうかが決まります。コーチが何を知りたいか、前もって正確には予測できません。しかし彼らが何を求めたとしても、すばやく見つけられるようにしておきたいのです。実際には求められることがないかもしれないし、大げさに聞こえるかもしれませんが、すべてのことがコーディング済みなら、実際は大した作業ではありません。私たちのゴールは、未来の時間を節約すること、私たちの仕事を簡潔にすること、コーチが楽に仕事ができるようにすることなのです。」

ナゲッツにとって、リーグを通じてスタッフや選手の変更に対応するためのコードウィンドウを準備しておくことは、柔軟でいるための鍵である。

アルメンタ「シーズン前、彼(アンドリュー)は対戦予定のある全チームのコードウィンドウを作っておき、トレードや負傷、シーズン中の不測の事態に合わせてそれを調整していきます。すべて、シーズンに向けた十分な準備のためなのです。靴の滑り止めの鋲のようなものかもしれませんね。それがどれだけ早くできているか、プロジェクトの成否はそれにかかっています。」

“You learn quickly that you need to tailor your code window for the future.” – Travess Armenta

「コードウィンドウは常に改良しなければいけないことが、すぐにわかるでしょう。」(トラヴィス・アルメンタ)

シーズン前にビデオ分析のワークフローを完璧にしておけば、その後1年、予期せぬ事態にもうまく対応できる。(それは個人も同じで)Sportscodeのようなこの世界の標準ソフトに熟練しておけば、最高レベルで戦うチームの、有力なスタッフ候補になれる。どんなチャンスも逃さない、そんな姿勢でいられるのだ。

 

アルメンタ「もし、あなたがヘッド・ビデオコーディネーターを夢見る22歳の駆け出しなら、下積みを進んで経験し、技術を習い、インターンでも季節労働者でも、何でもやりなさい。どんなチャンスでも『できません。』とは言わないこと。何が起きるかわからない、それはビデオ・コーディネーターの生活だって同じなんだから。」

 

 

Editorial Lead
Derek Hernandez

“Denver Nuggets’ Reliance on Sportscode Proves Vital for Organizational Success”
May 23, 2017

>Hudl blogの原文記事はこちら

スポーツコードのページから来られた方